「架空書評」「リプレイ」企画説明

概要

新企画「架空書評」「リプレイ」について、またその成立の経緯を説明します。

参加の経緯

はじめまして、このたび「ハイパー・ロアー・プロトコル」(およびその他のタイトル)に参加させて頂く、しろうと(id:sirouto2)と申します。

参加の経緯は、魔王14歳(id:Erlkonig)さんにゲーム制作の話をしていたところから始まります。私はまず、同人ゲーム制作を思い立ちました。が、新機軸を打ち出したゲームにしたいがため、いろいろと壁にぶつかりました。そのことを魔王さんに相談していたのです。

相談しているうちに、同人ゲーム(シェアゲーム)を出す前にフリーゲームで、フリーゲームを出す前に短い文章で、作品を発表したいと私は思うようになりました。最初のゲーム制作ということもあり、長編の前に何度か実験して、少し壁を崩しておきたい、という動機があります。

ところで、最近の魔王さんは『シヴィライゼーション4』(『Civ4』)に、相当ハマっておられるようです。難易度「皇帝」を攻略するプレイレポ*1も発表されていますね。言ってみれば、「ゆらぎの魔王」だけでは飽きたらず、「Civの皇帝」 に君臨しようとされています。

その一方で、このブログ(ダイアリー)の年間更新料を一括でお支払い*2なさってもいる。私も最近、一括払いしたので、その重税感(w)はよく分かります。そこでせっかくだから、魔王さんが『Civ4』の遠征から戻ってくるまで少しの間に、「魔王のいぬ間に創作」してしまおう、と思いつきました。*3

コンセプト

これから提示する企画は、超短編でもよいし、アイディアをそのまま書いてもよい、といった「ハイパー・ロアー」の企図に沿うと思います。また「都市伝説」というキーワードが持つ、架空性の概念とも関係しています。

都市伝説は架空性を持ちながら、ノンフィクションだという建前と体裁の元に、口頭伝承されていきます。一方でメタフィクションは、フィクションだということを自己言及的に暴露します。両者は対極的なようでいて、自然主義的リアリズムに制約されない、ある種の表現の可能性を共有しています。

そうした物語の語り方の架空性・人工性、という問題意識がまずあります。そのうち特定の形式によるアプローチを、私は「ホワットダニット」というキーワードに集約しました。

私が考える「ホワットダニット」とは、「何が起きたか」「何が引き起こしたか」に対する意識です。ミステリで言えば、犯人・手口・動機が分かっていながら、事件自体が分からない、というところです。

これをたとえると、「パントマイム」のようなものです。パントマイムでは、対象物が不在で、それに対する行為や反応で、対象物があるかのように振る舞います。たとえば、ロープを持っていなくても、ロープを引くかのようなしぐさで、それと分かるようなことですね。

そして、架空の創作物に対する批評(架空書評)、物語へのテーブルトークゲーム要素の導入(リプレイ)、といった形でそのコンセプトを具体化します。それらはいずれも、不在の対象に対するパントマイム的表現なのです。

実現方法

私の企画のうちひとつは「架空書評」、さらにそれを書物に限らずゲームに応用した「架空レビュー」「架空プレイレポ」です。さらに、「架空実況」「架空MAD」も、ありえるでしょう。

このフィクション・レビューには、実際にゲームをプレイしなくても、手軽にネタをねつ造できる、という利点があります。しかし、プレイヤーがどのような反応をするかのシミュレーションになるので、あながちネタだけで終わらず、個人レベルのゲーム制作のアイディア・ツールになるとも思っています。

もうひとつは、「リプレイ」を導入したRPG的ファンタジーです。単にTRPG的にするだけではありません。全体像や結末が分かっているが、具体的な状況が分からないという、通常の物語を反転した形にします。

このリプレイ・ファンタジーには、後付けで設定や展開を足せるために、構成を組み立てる手間が省ける、という長所があります。さらにノベルゲームなどに応用すれば、限られた素材を最大限に活かすことができるかもしれません。

注意点としては、両企画とも短編向きです。また架空性を利用している以上、分かりやすさやリアリティが欠如しがちなので、そこをどう補うかが問題になります。ですが、現実的な事情の束縛がない分、架空のほうが分かりやすくてリアリティが出ることも、じつはありえると考えています。

これらの企画のエントリには、「架空書評」「リプレイ」というタグを付与します。「架空ノベルゲームレビュー」「歴史物リプレイ」など、さらにジャンルを細分化もできますが、タグの性質上あまり分散しないほうが良いと判断しました。

また、企画を実行したエントリは構いませんが、この企画説明のエントリ自体は、改変をご遠慮ください。

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*1:http://d.hatena.ne.jp/TimeTide/20100609/1276082819

*2:http://d.hatena.ne.jp/hyperlore/20100501/1272715836

*3:……と思っていたら、投稿されていました。ちなみに、『Civ4』皇帝はもうクリアしたそうです