架空ゲーム『ゆらぎの神話 THE GAME』レビュー・レポート

概要

ゆらぎの神話 ポータル

架空神話「ゆらぎの神話」を題材にした*1、架空のゲーム『ゆらぎの神話 THE GAME』を、実際にプレイしたかのような、レビューとプレイレポートです。

架空レビュー

ゆらぎの神話 THE GAME』は、ファンタジー世界の国家を発展させるシミュレーションゲームである。

ゲームの目的は、プレイヤーが選択した一国を成長させ、国土拡張など一定の勝利条件を満たすこと。プレイの過程で国の発展度合いにより、選択できるコマンドや生産できるユニットが増えていく。しかも、現実の歴史とは全く異なり、ゲーム中盤から魔法文明が進歩していく。

たとえば、「飛行」の魔法を開発すると、強力な兵器の「飛空挺」を建造できるようになる。だがここで「飛行」を取得するには、先に「浮遊」を開発しておかなければならない。他にも様々な魔法があり、どういう順序で魔法を開発するかが、国を左右する戦略要素になっている。

魔法を開発するには、一定の開発費を国費から投じる必要がある。また、文化の熟成度合いが、魔法の威力に影響する。この世界での魔法は、言語が力の源だという設定だ。したがって、文化が成熟すると、流通する言葉の量が増え、結果的に魔法力が上がる。

文化を育てるには、資源が必要になる。農林、水産、鉱山などのほか、「竜騎士」という強力なユニット生産に欠かせない、竜の生息地といったものまで。この資源をめぐり、しばしば国家間で戦争が勃発する。

戦争はRPGのような画面で行なわれる。ユニットとコマンドを選択し、交戦中の両軍が交互にターンを繰り返して戦闘が進行。ユニットによって攻撃方法が異なり、たとえば「竜騎士」なら炎を吐く。

そのように、本作にはマップでユニットを移動させる手順がない。そのため戦略性が単純になるきらいはあるが、一方でゲーム時間の短縮とテンポの向上につながっている。戦略SLGによくある、生産したユニットを前線まで延々と送るという、操作の手間が省けるからだ。

各国には守護神がおり、それぞれ固有の能力を持っている。その中には、ゲーム性が一変するほどの強力なものも。特に「アルセス」の「パンゲオ・ストライク」は、敵軍への攻撃と自軍のユニット生産を同時に可能にするので強力だ。

本作には、育成と戦略要素だけでなく、ストーリーも用意されている。アルセスたち神々や人々のエピソードが、ゲームの途中で断片的に提示される。華麗なムービーなどはないが、ファンタジー世界の歴史を追体験するような感覚がある一作だ。

架空プレイレポート

ゲーム開始

ゆらぎの神話 THE GAME』のプレイレポート。ゲーム条件設定は以下の通り。

  • 国家:アルセミット
  • 守護神:アルセス
  • 難易度:ノーマル
  • 速度:ノーマル
  • 規模:スモール

ゲーム開始。国家はアルセミット、守護神はアルセス、宗教はアルセス教、とアルセス一色なので分かりやすい。アルセス固有技の「パンゲオ・ストライク」(以下「パンスト」)に頼ったラッシュを狙う、という攻略方針もこれまた分かりやすい。

「パンゲオ・ストライク」はなぜ強いのか

では「パンスト」はなぜ強いのか? そもそも、このゲームではユニット生産後に維持費が掛かるため、平時にユニットをあらかじめ揃えておくことができない。

もし、無理に大量生産すれば、国庫を食い潰され、魔法への研究費が削られる。すると、各国との魔法開発競争に遅れを取ってしまう。やがて、量を質で凌ぐ精鋭ユニットが出現して逆転されてしまう。

その一方、ユニットを生産するには、一定の時間が掛かる。だから、いかに戦争中の迅速な生産体制を築くかが、戦略の鍵を握る。そこで、攻撃と同時にユニットを召還できる「パンスト」は、大きな価値があるというわけだ。

しかし、アルセスなら楽勝かといえば、そうでもない。アルセス自身はたいして戦闘能力がない。「パンスト」は攻撃対象が必須なため、必ず直接戦わないといけない。すると、攻撃される機会が生じるから、場合によってはあっけなくやられてしまう。

したがって、アルセスを選んだプレイでは、良くも悪くもアルセス中心のプレイとなってしまう。守護神だから主役ではあるのだが、勝因も敗因も彼が主な原因になることが多い。そこから「悪いのはアルセス」という、例のフレーズがよく用いられる。

トリッキーな「ワレリィ・ドア」戦法

大陸を調査していくと、もうひとつの国家とコンタクトした。魔導国家ヘクセン。守護神はキュトスの姉妹・ワレリィ。アルセスが近距離パワー型だとすれば、彼女は遠隔操作型と対照的だ。

ワレリィ固有技の「ワレリィ・ドア」(以下「ワレドア」)を使うとワープできるため、通常必要なユニットの移動時間を無視できる。だから「ワレドア」は、自軍をかき集めて守備の薄い敵地に送り込む、という奇襲戦法を可能にする。しかも、ワレリィが前線に立つ必要もなく安全だ。

「ワレドア」の欠点としては、ドアを通ったユニットが、たまに行方不明になることだ。そうして奇襲を仕掛ける側が、勝手に自滅してしまうという、意味不明な事態を招く。戦争が終わった後に、ユニットがひょっこり帰ってきたりするが、それでは何をやっているのか分からない。

「ワレドア」は普段から多用せず、ここぞという場面を見極めて使いたいところだ。「ワレドア」がうまくツボにはまると、「パンスト」以上の戦果を出すこともある一方、敵がスキを見せずに全く使いどころがなく終わることもある。ギャンブル性がある印象だ。

猫騎士と竜騎士

領地の資源を調査した結果、アルセミットは竜、ヘクセンは猫の生息地を発見した。また、自領に鉱山があるので、工業力を伸ばせるのは嬉しい。「竜騎士」と「猫騎士」のユニット生産に必要となる竜と猫も、このゲームの戦略を大きく左右する。

大ざっぱに、猫中心なら序盤先行型、竜中心なら中盤加速型、とタイプが分かれる。というのも、序盤の国力が乏しいうちは、竜の生産コストが高いし能力を持てあます。だが、中盤からは、翼の飛行能力と炎の飛び道具が、がぜん威力を発揮する。

今回は竜なので、中盤からの「竜・パンスト・ラッシュ」に賭ける。竜を持っていることもあり、「浮遊」→「飛行」→「反重力」の空中ルートは完全に放棄。竜騎士でも陥落不能の「空中要塞」は、純粋なスペック的には確かに最強だ。しかし、完成する頃には大勢がすでに決していて、「戦艦大和」のような存在になる展開が多い。

「ワレドア」のいやらしいのぞき

ゲーム序盤を過ぎた頃、領地や国力でヘクセンに押され気味に。こちらが戦力を集中して1ヶ所を攻めても、「ワレドア」を使って2ヶ所を攻め返される。向こうの思うツボで、こちらは翻弄されてぜんぜん動けない。ドアから常にのぞかれているようで、いやらしい感じだ。

しかし、「ワレドア」は相手の遊んでいる領土をかすめ取るのには向くが、1ヶ所の土地に押し込めた相手を完全に攻め滅ぼすまでの力はない。ゲームの規模が大きい場合などは、他国との関係もあってそのまま滅ぼされることもある。が、今回はこの大陸に2国なので、じっとガマンが得策。

今回は竜があるため、「氷炎術」ルートもスルー。鉱山資源を活かして、「錬金術」ルートを行く。後のラッシュ用資金をこしらえるのが最大の理由だが、諜報や予言を可能にする「水晶術」など、地味だが役立つ技術を確保したいのもある。

浮遊大陸の出現

そんな小競り合いを続けていると、浮遊大陸が出現した。現実の歴史で言えば、ルネッサンス大航海時代に相当するだろうか。新たな開拓地の出現が、中世の停滞感を打ち破る。

この浮遊大陸が出現したときに、竜で飛んでいけるのは非常に大きい。飛空挺を開発して猫を乗せられれば、またひっくり返るが、それまでにどれだけ浮遊大陸に入植できるかが勝負。

浮遊大陸の古代軍勢を「竜・パンスト・ラッシュ」で制圧。「魔石」など、太古の資源と魔法を入手した。ヘクセンに対してまだ領土は狭いものの、圧倒的な技術的アドバンテージを得た。

準備万端整ったので、第二のラッシュを準備。いよいよ、ここまで押さえ込まれてきたヘクセンに逆襲開始。「ワレドア」には戦力自体を増やす力がないため、戦力の絶対量で上回っているこちらには、小細工は効かない。

包囲するように領土を落としていき、最終的に全土を制圧してアルセミット・アルセス側が勝利! 「悪いのはアルセスです」と、この期に及んで責任転嫁するワレリィ。

反省

最後に、さらなる高難易度を目指すために、反省点をまとめた。

まず、序盤のプレイイングが甘いために、「ワレドア」の奇襲を許してしまったが、大規模・高難易度で、それでは通用しないだろう。特にワレリィ相手には、偏りのないスムーズな部隊配備が求められるので、資源分配と生産ルートを見直す。

また、「パンスト」ひとつ覚えのプレイだったが、それだと高難易度でラッシュを封じられた展開のときに苦しそう。猫・竜ラッシュ以外にも、魔法戦争や内政勝利狙いなど、複数の目的を平行して進められるようにしたい。

*1:大筋で百科事典の記述に従いましたが、面白くするため、記述と異なる部分も多々あります