ガッデム岬

私は革命逆柱だ。行かなくてはならない。

私の名前は夢日記狂死郎という。
記憶縮退法で霊的ネオテニーを果たした私は、名前以外のほとんど全ての記憶を失った状態でこの場所にたどり着いた。
あとは過剰な使命感。
なんだか知らんが私が行くしかない、という感じ…。
名前と使命だけがある。
生命としてシンプルだけど…。

ここには私一人しか居ない。
一人しか居ることが出来ないように出来てるし…。
こんな殺風景なところには誰も長く留まりたくなんかない。
全方位を虚無に囲まれていて、宇宙が無い。
できるのはせいぜい、
在るはずの外部、居るはずの君へ向けて意識を投げることのみ。
届いてるんだろうか……………………………⇒?

『思念による不在との対話』なんて不毛に思える。
しかしまあ、私がここで意識を保てるのは、【前の人】がその思念で想定した意識をここに記述してくれていたからだし…。
私もその善意は継承したいと思う。
思うに文章天の存在意義は『伝達』などという上等なものではなく、『しばらくそこに留まる』ということだけなんじゃなかろうか?
私にはそれだけで充分ありがたかった。
信じるに足るものは信じたほうがいい。
そのことにもっと早く気づいていればなあ…。

あ。
雨が降ってきた。
龍が死んだんだな…。
んで龍脈が枯れて現象天を支えきれなくなった、と。
大きな龍だったのなら豪雨になるな。
都市部は原因不明の停電だろう。
死人が出るかもしれない…。
まあ、生きてる限りいつか死ぬ。
龍ですら一生しか生きない。
その一生も終始自分との戦いだ。
雄雄しいような虚しいような…。
雨が上がったら必ず虹が出る。
幾重の虹になるかは生前の徳に応じて決まる。
彼(彼女?)はどれくらい頑張ったんだろうか?
きっとすんごく頑張ったんだろうなあ。
龍になっちゃうぐらいだもんなあ。
生死虚実万象を以って万象を寿いで、
いくつもの愛を失いながら翩翻を繰り返し、
初源と終末の相克さえ踏み越えて龍となった。
少なくとも主観的には法を超えた存在、それが龍。
でも死んだ。
だからせめて虹になるしかない。
それを誰かが「きれい」って言って眺める…。
この場所に居るせいで分かることは、
寂しくなるようなことの方が多いよ。
それにしても…。
雨は届くのかよ…。
体が冷えてきたよ…。

座敷郎兄さんはどうしてるんだろうか?
相変わらず真理までを微分してるんだろうか?
ほどほどで形にしてアウトプットしたほうがいいのに…。
いや人の心配をしてる場合じゃないな。
もうもたないよ。
ほどけてきたよ。
虹を見れないのは残念だけど…、
そろそろ本当に行かなきゃいけないようだ。

まあ、
ガッデム構造体から飛び降りると『なりたいものになれる』わけです。
説明おわり。
………。
誰でもそうだとおもうんだけど、
高いところから末端のゴミに過ぎない我々に降り注ぐ、
ちっとも優しくない、
まったく手加減のない、
誰が神でも絶対にそうする、
完全に公平で適正な宇宙の運用法としての真理から、
1つくらいは自分の気に入りのパーツを見つけると思うんだ。
私の場合は昆虫だな。
私のテーマは『たくさんの昆虫』です。はい。
ついに自分を含め『人間』は愛せませんでしたー。あははー。
………。
虫が群体でいるのが好きっていうか、楽しいんだよね。
機能美と大量死の桃源郷をやけくそなる風が吹き抜けてゆく、という感じ。
それが僕の宇厨。…フフフ(満足)
ゴマダラチョウ?アカトンボ?ナナホシテントウ
違うよ?
『アレ』だよ『アレ』。
じゃあ、最後に必要なことだけちゃんと言っとくよ。

君も革命逆柱だ。いずれ行かなくてはならない。
さよならっ