11月4日への扉(仮)

(内容)
ループ物。ただしループ自体ではなく、ループから抜けた後が中心の話である。
テーマは『罪と罰』、そして『初恋』である。
ただし『初恋』は主人公にとってのそれではなく、またヒロインのそれでもない。

(概要)
主人公は11月1日〜11月3日を繰り返している。
目的は一人の少女を殺害することである。
未来において起きた事件で家族を喪った主人公は、「とある少女を殺害することで、殺害方法によっては時間に干渉して事件自体を無かったことに出来るかもしれない」という、謎の組織「財団」の口車に乗り、「財団」の開発したタイムマシンで過去(20年前)に戻って同じ時間を繰り返し彼女のことを殺害することを選んだのだ。しかし、このタイムマシンには欠陥があり、本来ありえた未来の破壊(この場合は事件が無かったことになる)が無ければ元の時間には戻れず、また過去には一定期間しか存在できず、その期間が過ぎてしまえばタイムマシンで最初に戻った日に戻されてしまうのだ。
主人公は殺人の罪悪感に苛まれながらも彼女を何度も何度も殺害する。それでも方法が間違えているのか元の時間へと戻れず、主人公は延々と繰り返される同じ時間の中で殺人を続ける。
しかし、繰り返し行った殺人の結果、罪悪感も薄れてしまったある時、彼が手を下していないにも関わらず彼女は主人公の前で他殺体になって発見される。そして主人公は繰り返しから抜ける。
「財団」によれば、主人公の行動の結果事件は発生しなかったが彼の家族はいなかったことになったという。食って掛かる主人公だが「財団」は「我々は慈善事業をしているわけではない」と冷たく付き放つ。
殺人の罪悪感と麻痺してしまった何かに怯えながら、だれも自分を待つ人間がいない元の時間で、今はいない家族との思い出をなぞる日々を過ごす主人公。
罪悪感と無為感のあまりに自らの死すら考えた時、彼の元に一人の刑事が訪れる。刑事によれば、事件は既に捜査本部が解散しており、自分が定年退職を迎えることで今後は誰も追わなくなるだろう、ということで、事件の第一発見者が当時中学生だった主人公がその場から立ち去るのを見ていて、事件当初は捜査本部は主人公も容疑者として上げられていたが後に第一発見者が証言を訂正したという。
もしかすると、幾つかのループを辿るうちに、昔の私が彼女を殺してしまったのか?しかし、それは何故?
疑問を抱いた主人公は「過去」の資料と記憶から事件を追うのだが……

(登場人物)
主人公
20代後半、元は営業職。現在(ループ前)は無職。ループから戻った後は総務職だが結局無職。
現在(ループ前)は結婚していて一児の父親だった。ループ後は独身である。
外見は特に目立ったところが無い中肉中背。事件で家族を失ったショックで少しやつれている。
書籍や資料、ネットからの調べごとが得意である。あまり外交的なタイプではない。悩み事を自分で抱え込むタイプであり、一人で解決しようとするタイプである。友達は少ない。
『財団』によれば「時間から存在が消えても未来に影響が出ない」という稀有な存在。
過去においては中学生だった。

少女
16歳から17歳。
過去においては学生。
主人公が殺害しようとしている対象。彼女の殺され方によっては時間が大きく揺らぎ、未来における事件が無かったことにされる(ただしこれは『財団』の『計算』によるものである)
どこかおっとりとした人を疑わない性格。
長い黒髪と、高い背が特徴である。
未来においては既に殺害されており、時効が成立した。


40代
財団のエージェントである。
禿げ上がった頭、丸い体型、笑った作りのどこか人のよさそうに見える顔が特徴。
主人公をループにいざなった張本人である。

(道具)

タイムマシンである。
巨大な円筒の中枢部に小さな箱があるような形状。
乗り物ではなく、人間を過去に送り込むための装置である。カタパルトで人間を時間という流れの中へ投げ込むイメージ。
20年だけ昔に時間移動することが可能。ただし移動できるのは時間だけであり、場所の移動は出来ない。また、出力の問題から人間一人と衣服等の少量の備品を持ち込むことが出来るだけである。その備品が「新聞」である。
また、過去には行くことが出来るが、未来へは行けない。過去へと送られた存在は時間が整合性を保持しようと異物を排除しようとする性質であるため、一定期間後、もう一度最初に移動した時間に戻される(永遠にループする)。
元の時間に戻るためには、時間滞在中に元居た時間が決定的に変わる事件が起きる必要がある(時間が整合性を保持するために異質と認めた存在を排除しようとする効果を利用する)。

新聞
ただの紙製の新聞である。
しかし、「箱」を使った人間が未来(つまり時間移動前の世界)を変えた場合、その紙面も変わる(それが紙面に載る程度の事件であればの話であるが)。
未来が変化したかどうかを確認するための手段である。