11月4日への扉 序章の概要

(概要)
序章.
駅のホーム、モデルは京浜急行新馬場駅(90年代初頭)。この駅は急行・快速は止まらない。
11月3日、休日とあって人もまばらなホームで電車待ちをする少女を主人公線路に突き飛ばす。走りこんできた通過列車に轢かれ血まみれの肉片と化す少女。
その場から逃れた主人公は、一人駅のトイレでまだ残る少女の感触に殺人を犯した恐怖と罪悪感に怯えて嘔吐する。
そして「新聞(未来が変わったかどうか分かる)」を見て未来が変わっていないことを知り、まだこの殺人を続けなければならないことに絶望する。

――過去(正確には未来)の回想
すっかりやつれて荒れた顔の主人公が黒服の男に連れられてどこか豪華な部屋に入ってくる。髪の毛はボサボサ、顔色は悪く、昼だというのに酒臭い。目つきはすっかり悪くなっており、着ている服もだらしない。
部屋で待ち受けているのは小太りの男。
小太りの男は「過去を変えたくないか?」と主人公に話を持ちかける。小太りの男によれば自分たち「財団」はタイムマシンを所有しており、そのタイムマシンを使えば過去の改変が可能だという。半信半疑で詐欺であることを疑いながらも、「どうやれば過去を改変できるのか?」をたずねる主人公。小太りの男は一人の少女の写真を取り出し、「彼女を11月3日に殺害すればその後の未来が変更になり、事件が無かったことになる可能性がある」と答える。ただし、殺害方法はなんでも良いわけではなく、未来を改変するに至る方法でなければならないという。
「なぜ自分なのか?」について主人公は聞くが、小太りの男は「もし実験が失敗して貴方が時間から消滅しても、少なくとも今現在に至るまでの歴史に影響が出ないから」、とさらっと答える。これは稀有なことなのだという。
家族を取り戻すため、備品としての「新聞」と、当時において普通の服、そして活動に必要な資金(換金できる何か、宝石とか小型のもの)を手に主人公は過去へタイムマシン、「箱」を使って移動する。

何度目かのループの後、すっかり憔悴して、虚ろな目の主人公。
もう既に何かが麻痺しており、殺人に対して罪悪感がなく、ただ淡々と作業を繰り返すだけになっている。
安いビジネスホテルの洗面所で鏡を見た主人公は自分の顔、特に目を見て恐怖する(殺人者の目)。そして、自分は何をしているのだろう、と深く悩む。
やがて主人公は自分が殺している少女はどのような人物なのか興味を持ち、彼女に接触を試みる。
接触してみた彼女は普通のどこにでもいる少女だった。(主人公の、自分の子供も生きていればそう育ったのかもしれないという心の痛み)
そのループでの何度目かの11/3、主人公は淡々と作業をするように彼女を殺害するために尾行する。
しかし、彼女が一人になった場所から一人の少年が飛び出てくる。その少年にどこか概視感を覚えながらも、彼女のいる場所へと主人公は足を運ぶ。
そこで彼が目にしたのは血まみれになった(←血まみれの必要はない?)彼女の死体だった。
突然の出来事に呆然とする主人公。自分の手による殺害以外に彼女の死ぬ理由はなかったはずではないのか?いや、それとも自分はもう意識することなく人を作業的に殺してしまうぐらいに壊れてしまったのか(後者の悩みが今後、話に大きく関わる)?
恐る恐る「新聞」を見た主人公は固まる。
その紙面の一面を飾っていたのは「事件」ではなく、海外に行った野球プレイヤーが大リーグで記録を打ち立てたことだった(これはサッカーでも良い?)。
未来は書き換わってしまったのだ。