11月4日への扉 3章の概要

――過去に自分が住んでいた家
ループによって自分の過去が変わってしまったことを知った主人公は、述懐するだけだったループ前の過去ではなく、ループによって変わってしまった自分の過去を追い求める。同時に「財団」に連絡を取ろうとするが、彼らは痕跡を消してしまっており、もともと公の組織でなかったことも手伝い一向に連絡が取れない。
調べるうちに幾つかのことが分かった。
・殺人事件は彼が中学生のときに発生し、彼は第一発見者であったが警察から重要参考人とされて取調べを受けた。
・鉄道係員、野次馬、警察が来るまでその殺人現場を訪れたのは彼だけである。
・解剖結果から死因は出血多量による死亡であると判明したが、凶器は発見されていない。
・殺人現場となった場所には清掃備品室があったが、そこからも凶器は発見されておらず、また特にその場所に誰かが隠れていた痕跡は見つけられなかった。
・殺人事件の重要参考人としての容疑は晴れたものの、彼が重要参考人として警察に取り調べられたことが報道され、ネットで実名が公開(これは設定する時代によっては週刊誌でも良い)されてしまい、勝手な殺人に至る物語を作られてしまった主人公はその後社会が彼のことを忘れ、その追求を逃れるために学校の転向を繰り返していた。
彼が訪れたのは最後に彼が家族と暮らした(両親は死亡している)家(甲府か富山)で、両親の死後、買い取り手もいなかったためそのままになっている。
彼はそこで自分の過去のアルバム等を見つける。逃亡するように転向を繰り返して言った間、だんだん荒んでいったことが分かる記録の数々。そして、中学時代、その事件が起きる前の物らしいアルバムや学校の記録を見つける(事件が起きるまで時期への執着を思わせる)。そこにはループ前には古くからの悪友として覚えがある人間の名前や電話番号があった。
自分に起きたことを知るために、その電話番号に片っ端から電話をかける主人公。
やがて、一つの電話番号が当たりを引き、彼らは会う約束をする。


――居酒屋
モデルは新宿、ゴールデン街
少し暗いバー、久々に身なりを整えた主人公がカウンターで待っていると、どこか懐かしい顔が姿を現す。それが彼の悪友だった。
久々の再開を喜ぶ二人。
友人は、自分は主人公が犯人ではないと信じていたが、周囲の空気に押されて彼を避けたことを詫びる。そして彼との会話から、いくつかのことが明らかになる。
・主人公は、この友人に頼まれ、中学校の文化祭に来ていた、彼が一目ぼれしてしまった女子高生に彼からの手紙を渡すことを引き受けた
・その女子高生が事件の被害者である。
・主人公に懸想している同年代の少女がいた。(主人公は同級生としての彼女を知っていたが、特に意識はしていなかった)
・彼女は今、物理学の分野で名をはせている。
主人公は彼女ならば「財団」について何か知っているのではないか?と考え彼女への接触を試みる。


――大学の研究室
彼女は快く彼との面会を受けてくれた。
「財団」という組織を知っているか?という質問に彼女は「知らない」と答える。項垂れる主人公。
何があったのか?を聞く彼女に、主人公は自分に起きた出来事を話す(絶望のあまり)。
話を聞いていた彼女は、「その話にはおかしな所がある」と主人公に指摘する。
未来が変わってしまったのならループを通しての時間の流れの観測者である主人公以外その改変に気付かないはずである。なのに、どうして「財団」の人物達はなくなった「事件」のことを知っているのか?
ハッとそのことに気付く主人公。彼らは、ループ前と何も変わってはいなかった。
もし未来の改変を知っているとすれば、時間の流れを「財団」が観測していたか、それとも主人公と一緒に時間をループしていて「財団」と通じている観測者がいたはずである。
「財団」はこの殺人事件について何かを知っているかもしれない、と主人公は思いつく。