『美少女地獄外道祭文(1) 外道少女殺人ホメオパシー』

(http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=53489 より転載)


 友達が外道です。ヤクザ屋さんとかではありませんが、人間としてひどいのです。クズと言ってもいいかもです。彼女はアグニちゃんといって、ちょっとしたことですぐにテンションを上げて騒動を起こす人格破綻者です。この間の下校の時も

「おい見ろよシズカ、犬が弱ってるよ、犬が」

 などと道端を指差します。なるほど、土手の脇の芝生では、たしかに薄汚れたお犬さんが横たわっていました。息も絶え絶え、舌丸出しでやばそうな感じです。

「え……いじめるの? トドメさしちゃうの? やめなよ……」
「なんでだよ。しんどそうだよ、助けなきゃ」

 そんなことを言いながら、アグニちゃんは大股でお犬さんに近づきます。お犬さんは、それだけで怯えて身をすくめます。

「このまま一日くらい放っとくと命にかかわりそうな感じだね」
「おう。こういう緊急の治療には、ホメオパシーがいいんだってさ」
「ほ、ホメオパシー
「こんなこともあろうかとトリカブトの粉末を用意してたんで、こいつを希釈してレメディを作ろう」
「アグニちゃん希釈できるの? あれって、何か大袈裟な装置とかいらなかったっけ……」
「目分量で」

 首輪を見たら隣のクラスの渡辺君の飼い犬だったので、その場で連絡して獣医さんに連れてかせました。放し飼いはよくないですね。

「ちぇーせっかくあたしのキメたホメオパシーの威力を見せつけるところだったのに!」
「うん、それたぶん死んじゃうよね……」
「たとえ死んだとしてもそれは好転反応っていって、治りかけてる証拠らしいぜ」
「アグニちゃん、どこでホメオパシーのこと勉強したの?」
「昨日ネットで……」

 その答は完璧に予想していたものだったので、私はそれ以上何も言いませんでした。どちらかというとトリカブトの入手先の方が気になったのですが、彼女は本当にヤバいことになるとしっかり口を噤むので、ネタを割ることはないでしょう。

「とにかくホメオパシーは薄めれば薄めるほど効くんだ。成分にトリカブトを使うのは"毒をもって毒を制す"の発想で、薄めた毒は裏返って薬になるんだよ」
「聞きかじったような俗流解釈はよくないよ……。いくらホメオパシープラセボ効果だからって、せめて200年の歴史を尊重しようよ」

 そんな話をしていると、アグニちゃんは突然なにか閃いたようでした。

「薄めれば薄めるほど薬効が出るってことはだな……逆に濃くしていけば毒になるってことだよな?」
「もともと前提の誤りがあったところに、さらに誤りを重ねた気がするよ? 二重の誤りだよ?」
「うるせー二重盲検法など知るか! お前らは何かと言えばすぐ二重盲検法だのエビデンスだの! 効果がなかったからって効かないとは言えないだろ!」
「うん効果がないなら効かないよね。あとこれは二重盲検法の話じゃないよ」
「それより問題は、濃くすれば薬が毒に反転するって発想だよ。これはスゲーよホメオパシー! 希釈しないで原料そのまま呑ませりゃ劇毒になるってことじゃん!」
「ちょっと待ってそれトリカブトだよね」
「もしかしてあたし完全犯罪思いついちゃった? ヤリーあたし今ちょうど殺したい奴いたんだ! C組の藤本なんだけどあいつあたしの日記荒らしやがって」
「ちょっと待ってそれトリカブトだよね」

 涼やかな風が気持ちいい、下校道の土手の上での会話でした。

【その後】

 後日、mixi日記の犯罪自慢で毒殺未遂が発覚したアグニちゃんは、警察に逮捕されてしまいました。「ホメオパシーは現代科学で証明されていないので、罪には問われないと思った」と罪を認めた彼女の言葉は、大きく報道されてひとしきりネタにされました。こうして賑やかな彼女は、私たちの学校からいなくなりました。彼女と最後に話したあの土手の風に吹かれながら、私はちょっとだけ寂しさを覚えるのです。

「ゆらぎの神話 THE GAME」ゆらぎの大海MOD プレイメモ

興亡記MOD 勢力メモで少し書いたMOD起動時のバグにパッチが当たったのでやっと遊べます。冷やしSF MOD始めました。

「ゆらぎの大海」MOD 解説

MODの元ネタは文プリ21*1から発売された『キュラギ共和国興亡記』シリーズ。STG/TRPG*2の「たのしい連邦のれきし」と「ゆらぎの神話」シリーズのクロス物。

一言でいうと「ゆらぎの神話+スペースオペラ」。元々「連邦のれきし」自体がゆらぎに触発されて始まった物なので、クロスしても意外と違和感ないです。

また、先月末「ゆらぎの大海」のスタンドアロンでの製作開始が発表されています。詳細はまだ出ていないですが、ゲームエンジンと発売元はゆらぎの神話と同じになるようです。AiPhoneはほっといてもアプリ出るでしょうから早めにNdroid版をですね(ry

キュラギ共和国でプレイ開始

若き女性首相*3を元首とする辺境国家キュラギ共和国…に扮した鈴国離宮アンド城下町の一部。政府CTOのカケレヒ女史*4テクノクラート*5もいるよ!*6

ブルーダイヤを触媒に*7召喚術の実験をしたら城ごと未知の土地に放り出されてさぁ大変。城の面々が魔法を使えるのをいいことに、近くにいた交易商人を紳士的にお招きして、どういう世界に放り込まれたのか把握。辺境の入植地に化けて帰還の方法を探しましょう、というのが『キュラギ共和国興亡史』のお話。

そんな訳でゲームスタート。多分白歴史ノートの方々は「たのしい連邦のれきし」知らないと思うので、設定の方も交えつつ。

  • 国家 キュラギ共和国
  • 指導者 ディミラッサ
  • 難易度 イージー
  • 速度 スロー
  • 規模 ミディアム

曙光連盟

お隣さん発見。さっそくファーストコンタクトです。

連盟の民は皆平等です。退けば平等に死体になるのですから。

皇女様のやんごとなきデコっぱちが眩しゅうございます…。

連盟は原作だと、年がら年中人類液状化計画の完成後、もとい「共感者」*8たちの侵攻を受けている勢力です。勢力圏の端っこでは毎日無料でB級映画体験ができます。あと勢力旗がちょっとサイタマーAAっぽい。

この勢力の軍服、コスプレ用に制作してドイツに持ち込んだら憲法違反でお縄になりそうな感じがしないでもありません*9。二次大戦ごろの枢軸国っぽいです。

曙光は地味な良キャラ揃い

今回はNPC指導者が高葉宮(たかはのみや)皇女の方になったようです。同じく連盟の通称パスタ親父のカルボネラさん*10も良いキャラしてるんですけどね。やっぱりロイヤルデコ可愛い。作中設定を反映して非人類相手の防衛戦が十八番だそうです。取り敢えず最初の相手なので友好設定。首相とガールズトーク外交しといてください。

本当はカルボさんの防衛補正と固有技術「カンノーリ211級列車対空ミサイル」*11ができるようになって、経済に+補正が掛かったり、戦時のユニット移動が便利になります。もうひとつ大事なのは技術交流。早速連盟の「発展生体工学」と共和国の「未踏宙域の情報」*12を交換。

共感者/リアラってどんなん

原作だと、社会性昆虫のような「ハイブマインド」までは行かないまでも個体全部の思考がテレパシー*13っぽい物で繋がっていて、当然のように人間の思考も読んでくるという幸せなのか気持ち悪いのか微妙な勢力/生物です。ちゃんと知能はあるのでやろうと思えば会話もできます。主力は各種動物兵器。「生物兵器*14ではなくつるっと光沢のある化物やトゲトゲした巨大昆虫、その他諸々の愉快なクリーチャーです。

設定上どんだけバケモンでも、別にFPSじゃないからそう怖くはないんですけどね。地味に強いユニットが揃ってるので、強襲降下とか使う場合は、地形や戦力差にそれなりに気を付けましょう。ゲーム的に怖いのは、防衛機能のない拠点を攻撃してくる時だけ、物凄い+補正がかかってる点です。キュラギの魔法師団や教圏の焚書騎士団で防衛やっても、拠点が普通のだったらどっちみち綺麗に駆逐されます。防衛拠点がなかったらユニットは全部避難で良いかと。

「たのしい(ry」のリプレイ本2巻であった皇女の御所脱出の話とか読んだ夜はトイレ行けなくなったんですよねー。パニックルームのドアを開けたら、オニヒトクチ*15のにやけた目と太い歯が! ギャアアアアアア! 1巻の『首相、昼食会を制圧す』の方でいい人っぽかった皇女のオトン、もとい皇帝陛下も「ここは私に任せろ!(バリバリ」展開であっさりお亡くなりになるし…あれ唐突すぎてよくなかった。

共感者対策

Wikiによると、共感者が敵になったら早めに防衛関連の研究を進めて、「自然科学」系統の「環境防災学III」と「全球警戒ネットワーク」を取得→「発展型文民保護計画」*16を完成させておくのがおすすめだそうです。発動させると戦時の人口移動が早くなりますし、艦船が捕獲・攻撃される率がぐっと下がります。非戦闘員を死なせたくない場合には重宝するはず。

また、上で書いたオニヒトクチですが、これ実は共感者の初期ユニットの1つなのでガンガン量産できます。その速度たるや人間ユニットのおよそ三倍! といっても所詮ケダモノなので、正面から当たらずに軌道対地攻撃でふっ飛ばせば良いんですけどね。

その場合有効なのは「軌道爆撃ドクトリン」、文化遺産『苦い食卓』*17と曙光プレイ時だったらこれまた固有技術「II型スピアー衛星」*18です。人類の怒りをおもいしれーとかインドラの炎だーとか言いながら撃ちましょう。

太陽爆発しろ!

で、ここまでは半自動プレイで内政やってたんですが、何やら通知音がなったのでおもむろにウィンドウを戻してみると…。

「良くないニュース - 恒星の変動」
早急な対策が必要だ! 天文学者は気絶せんばかりの顔色になっている。前兆現象だけでも周辺の生命と文明は壊滅的な打撃を受けるだろう。

共和国母星が焼き惑星になるんですって (^q^) まだ国交1個の時点で滅亡フラグが!

「通常プレイでは珍しい災害」(マニュアルまま)なのに母星の目の前ってなんだよ! 阻止しようにもそんな技術まだ研究してないので、前兆の観測時点で全マンパワーを母星機能の移転に突っ込みます。よその勢力の攻撃*19かとも思ったんですが、流石に戦争も起こってないであろう時点でそこまで研究進んでる勢力も無いだろう、ってことでくじ運が死ぬほど悪かったんでしょう。

今度は全手動でひたすら内政プレイを続けて、惑星環境の変動まで残り2ターン時点で大型移民船3隻+大型輸送艦5隻が建造完了。積載量はみ出す分は資源を諦めて脱出。跳躍航行で曙光の近くまで跳躍して、住民と国家中枢がこんがりローストになるのを回避できました。心が真っ白に燃え尽きたぜ…。

ひとまずここまででセーブ。残りは次の週末にでも。

*1:中野で年3回開催される文章系即売会の第21回。終了後の豪雨で帰り道死ぬかと思った

*2:両方ともOpenLoreライセンスなので一応シェアワールドでもある

*3:ディミラッサ http://d.hatena.ne.jp/hyperlore/20100627/1277650554

*4:魚娘 http://d.hatena.ne.jp/hyperlore/20091111/1257866514

*5:10/魔王城文武百官 http://d.hatena.ne.jp/hyperlore/20090925/1253890636

*6:外交交渉で鈴国を訪問していた、とか何とか。ご都合設定ですね

*7:ノーラは犠牲になったのだ…。しかも外に出る前に

*8:SFでよくある「テレパシーで全部繋がってる」タイプの宇宙人。動物兵器ユニットのデザイン的に「エイリアン」とか「スターシップトルーパーズ」辺りが好きな人にはたまらないかも

*9:設定上は皇女の国(立憲君主制)+ヴァイマル共和国っぽいカルボネラさんの国(議会制)+同じ惑星上の諸国、そこから近隣衛星や惑星へ入植した諸勢力合同の「戦時体制」なので、別に軍事国家って訳じゃないですが

*10:元シェフ→元軍人の政治家。ライバックではない。名前はイタリア系だがドイツっぽい方の国の人

*11:地対空どころか軌道上〜惑星近傍の宇宙空間まで攻撃できるディーゼル列車輸送のミサイル)があると軌道レベルでの防衛がかなり楽になる …らしいんですが。かなり研究進めないと取れないので、現時点では連盟は所有してないっぽいです。まあ、戦争プレイになるとも限らないですし。 国交ができると、相手の勢力圏を通る航路でも跳躍航行((でも初期では技術持ってない

*12:初期からなぜか持ってるのは図書室から風土紀でも掘り出してんでしょうか。連盟の人たちがゆらぎ世界の知識を教わっても役に立つのか怪しい

*13:詳細は「連邦のれきし」TRPGのルルブで小難しい説明付いてるけど割愛。何かWeb上の短編からのオマージュらしいですが

*14:毒ガス、細菌やウィルス

*15:つぶらな瞳と人間そっくりの形の歯。巨大な頭に足を生やしたような形状で、口を開けると皮のたるみ具合で目が笑ったように歪む。これは夢に出る

*16:名前長い

*17:軍人になった経緯を記したパスタ親父の著書。他の勢力でも作れるとこは突っ込んではいけない

*18:非人類由来とされるブラックボックスな構造物を組み込んだ兵器、とかいう設定。皇女様の秘密兵器。紀元槍?

*19:「恒星工学」関連の何か。終盤まで行くと超新星化爆弾とかできるそうですよ

架空ゲーム評:紀仙のナプサガプレイメモ

 やあ、悟りを開いて以来、アカシックレコードからDLしたレガシーゲームばっかりやってる紀仙だよ。今回プレイするレガシゲーはこの『ナプラサフラス・サーガ』、わが故郷パンゲイアの近世文化興隆時代を舞台としたフリーシナリオRPGだ。

 MMMODO(Massively MultiMODification Online) ということで、世界中のプレイヤーおよびMOD作者によってリアルタイムで作品内容が拡張され続けているのが本作の特徴だ。「ずっとα版!」なんて言われているけど、ちょっとやそっとのバグなら問題なく吸収してしまえるよう徹底的な抽象化が実践されたデザインはきわめて柔軟で、バグを制御可能な要素として肯定的に取り入れた作品だとも言われている。

 このゲームを製作した当時の文明はとっくに滅んじゃったけど、『ナプラサフラス・サーガ』のゲームエンジン自体はアカシックレコードにしっかりバックアップされていた。おかげで、僕らはゆうゆうとこの過去の遺産を肴にくっちゃべることができるというわけだ。基本バージョンを含めた多くの地理・イベント・キャラクター等のデータがロストしてしまったのは非常に残念だが、最近ではコアなレガシゲーマニアが積極的に本作のMODの再開発に取り組んでいる。『ナプラサフラス・サーガ』の作品世界は、ますます不整合な膨張を遂げつつあるというわけだ。

プレイ開始

 まずは主人公選択。デフォルト主人公としては、ゲームタイトルにもなっている「巡礼英雄ナプラサフラス」が設定されてるんだけど、あんまり正攻法で進めても面白くないのでパス。今回は大穴で、自分自身のストーリーをほとんど持たない異色主人公「黒衣の矮神マロゾロンド」を選択する。

 名前の通り、黒い布を全身にかぶって顔も見えないこいつがマロゾロンドだ。小動物を布きれで包んだようなちっこい体躯をしているが、これでれっきとした古き神の一柱なのだから侮ってはいけない。この奇妙な神についての伝承は枚挙にいとまがないが、その紹介に字数を費やすのもあれなので適当にぐぐっていただきたい。

 マジもんの神様であり、分類上は非人格神とされているだけあって、マロゾロンドの目的はプレイヤーにもよく分からない。他の主人公のように導入ストーリーがあるわけでもなく、いきなりワールドマップに放り出されるというのだから、恐ろしく玄人向けの主人公だ。そのぶん自由度は異様に高く設定されていて、その気になれば他の主人公のメインストーリーにまで介入できるという特徴がある。とりあえず誰か別のキャラクターを見つけて、そいつの後をつけ回すことにしよう。

 マロゾロンドは太古の時代から世界中を徘徊して回っていた奇怪な神なので、徒歩で立ち入ることのできるほぼ全てのマップ知識を最初から獲得している。このあたりも、マロゾロンドプレイの自由度を高めている要因の一つだ。まずは、この時代の政治・経済・文化・通信・軍事といったあらゆる文明要素の中心地、トルクルトアに向かうことにしよう。

 ちまちました作業的なレベル上げを良しとしないこのゲームでは、ワールドマップ上の移動が一瞬で行われる。目的地をクリックすれば、そこにはもう都市国家トルクルトアの見事な街眺が広がっている。多くのイベント、多くのキャラクターが集まる街でもあるので、序盤はとりあえずこの街目指して旅をする、というプレイヤーが圧倒的に多い。

ニースフリル姉さんをストーキング

 マロゾロンドほど神格の高い古代神がこんな街中をうろうろしてたら大騒ぎになりそうなものだが、「年に一度はすれ違う」と言われるくらいありふれた神でもあるので、人々の反応は慣れたものだ。道行く人にありがたやと拝まれたり、隠れた顔を確認しようと衣をのぞき込まれたり、モブの演出も芸が細かくてなかなか楽しい。

 非人格神であるマロゾロンドは他のキャラクターとの会話ができないので、とりあえず一人でもまともに喋れる人間を仲間に引き入れないことには、イベントを発動させることもままならない。というわけで最初の仲間に選んだのは、様々な方面に顔の利くトルクルトアの文化人、考古学者にして手紙魔のニースフリルだ。史実において、当時代のニースフリルは他の文化人との文通を通してしか存在が確認されていないのだけど、このゲームでは安宿に長泊して研究にふける彼女の姿をいつでも確認することができる。

 ニースフリルにはオリジナルイベント「神秘学者オルザウンとの接触」があり、よく街を出歩いているので、マロゾロンドはこれに張り付いてストーキングすることにする。最初は戸惑うニースフリルだが、言葉も通じなければ斬っても焼いてもびくともしないマロゾロンド相手にどうすることもできない。古代から生きる魔女という本性を持つ彼女は、マロゾロンドが敵意のない者に対して絶対的な人畜無害を貫く存在であることを知っているので、最終的には同行を黙認してくれるようになる。

 ニースフリルはオルザウンの住まうとされるあばら屋に足を運んでいるのだが、いつ行ってみても当人の姿はない。来訪を何度か繰り返すことでニースフリルはオルザウンの残した暗号を解き、ようやくイベントが発生する。ただし今回の主人公であるマロゾロンド自身は傍観者なので、最初と最後の来訪にだけ同行すればイベントを発生させることができる。

 暗号解除イベントが発生すると、オルザウンが潜んでいる不思議空間への扉が開く。しかしこの際、外世界へと通じた隙間から異形のアウターモンスターが飛び込んで来て、今回のプレイでは初めてのバトルが発生する。なお、このゲームには「勇者が旅立つ村の周りのモンスターは弱い」的な常識が通用しないので、まともなプレイングだとまずここで即死する。ためしにここで「助太刀しない」の選択肢を選ぶと、ニースフリルは最大HPの5倍を越えるダメージを食らってオーバーキル、「ギャー」と一言叫んでキャラクターグラフィックが消滅し、そのままイベントも終了する。なんのフォローもなく取り残されるマロゾロンドの姿がなかなかシュールだ。(このあたりの演出、妙にレトロゲーチックだなあ)

初戦闘と今後の方針

 ニースフリルを見殺しにすると話が進まないし、彼女の属する魔女姉妹連合からの報復イベントとかも発生していろいろと厄介だ。そもそもニースフリル姉さんは3回に2回はパーティに加える僕のお気に入りキャラなので、ここは素直に参戦しておく。

 バトル開始。マロゾロンドはあばら屋に落ちていた棒っ切れを掴み取って、戦闘画面に躍り出る。実はマロゾロンドの戦闘能力は初期状態から非常に高く、特に技巧(TEC)と敏捷(QUI)が半端ない。(通常プレイなら、いきなりラスボス戦パーティに加えても問題ないくらい) 敵の連続攻撃を立て続けに捌いて回避し、棒っ切れを繰り出して的確に急所を突く。数ターンすると対アウターモンスター限定の特殊スキル「フォドンの風」が使用可能になり、これで敵を外世界に送還して戦闘終了。*1

 戦闘終了後、世界の裏で暗躍する神々について語り合うニースフリルとオルザウンの怪しげな陰謀論を傍聴して、イベントは終了。とりあえずこの戦闘でニースフリルの信頼を得たことになり、以降は近場の安全なところであれば彼女を好きに連れ回すことができるようになる。彼女が仲間にいれば人と普通に会話ができるようになるため、発動可能なイベントがぐっと増えたというわけだ。

 こんな感じで人との縁を繋ぎ、徐々にイベントを進めていくのがこのゲームの基本的なプレイスタイルだ。マロゾロンドが主人公の場合、序盤の戦闘はかなりぬるいものになるのだけれど、一人では会話が不可能という特性上、なるべく多くのキャラクターと「無言の信頼」を築き上げて選択可能イベントを広げていく必要がある。というわけで、次回は仲間集めとイベント攻略を平行して進めていくことにしよう。(つづかない)

*1:ちなみに、ニースフリル一人でアウターモンスターに勝利するのはよほど鍛えない限り不可能。ニースフリルが主人公の場合は、通常、姉妹連合の強力な魔女を仲間に誘ってからここを訪れることになる。

ケンタッキーフライドチェイサー

『ケンタッキーフライドチェイサー』とは、鶏肉を凶器として無差別殺人を繰り返す白衣の怪人と、 それを迎え撃つ少女たちの、一夏の血みどろの物語である。

 追いかけてくる。
 もう日は暮れてしまって、空気が夜の冷たさを帯びている。
 電灯はさめざめとその足元を照らしている。
 遠くで踏み切りの音がする。かん、かん、かん。電車には家路につく人が大勢乗っていて、それぞれのあたたかい家に帰っていくのだろう。
 わたしも帰りたい。
 でも帰れない。
 わたしのあとをあいつが追いかけてくる。
 
 はじまりは些細なことだった。
 クラスメイトの由実が、恋愛にまつわる妙なジンクスを教えてくれたのだ。
 昼休み、わたしたちのグループは教室で机を寄せてお弁当を食べていた。グループといってもわたしを含めて三人で、そこにめずらしく由実が割りこんできたのだ。
「ねえねえ、知ってる?」
 由実はちょっと遊んでいそうな子で、わたしたちと違って見た目も言動も派手だ。だから普段ならそれほど交流はないし、こうやって話しかけてくることも少ない。でも、その日はなぜか親しげに輪に入ってきた。
「なあに、由実ちゃん」
 由実はそこらへんから椅子を持ってきて背もたれを前にして座り、こちらをうかがう。顔には抑えきれない笑みが浮かんでいる。
「ふっふっふ、カーネルの噂」
 カーネルの噂? ええと、カーネルって……。
「ケンタの人形みたいなやつ?」
「そう、それそれ。なんだ、話が早いじゃん」
 そう言って彼女が得意げにはじめた話によると、駅前のケンタッキーフライドチキンの店頭にディスプレイされているカーネル・サンダース像に触れると、恋愛運上昇、意中の人と結ばれる、さらに金運まで上昇、となにかといいことずくめらしい。もっとも、金運については彼女が話を大げさに誇張しているふしがあったけれど、まあどこにでもひとつやふたつはあるジンクスだ。
「でさあ、キョーカは委員長が好きなんでしょ? カーネル触ってきなよ」
 その言葉に一瞬、わたしの心臓はぴたりと止まった。
「ななな、なに言ってるの!」
「あ、やっぱ図星なんだ。わっかりやすー」
 キョーカこと山澤杏香──つまりわたしは、委員長の洋介のことが好きだ。古風な表現をすれば、恋している、と言っていい。でもこのことは今まで誰にも漏らした覚えはないし、きっと卒業したあとも胸に秘めたままで、たぶん彼とは結ばれることなく終わるだろう。それでいいと思っているし、クラスでも目立たないほうのわたしは、分相応に彼に憧れているだけの現状に満足していた。
「今どきそんなの流行らないよ?」
 由実は紙パックのオレンジジュースをずずっと飲んで、指先をこちらに向けてくるくると回している。
「うじうじしてたらダメだって。一度当たって砕けたほうがいいのよ」
「く、砕けたら死んじゃう」
 傍目から見ればわたしは泣きそうな顔をしていたと思う。だって、恋心を暴かれた上に、いまさら強い風が背中を押したようなものだったから。
「はあ、もう」
 やれやれとため息をついて立ち上がり、由実は指先をわたしの鼻先にびしっと突きつけ、宣言する。
「そんなんじゃ死ぬまで変わんないよ」
 このとき──
 このとき、たしかに運命の歯車が動いたのだった。

がらくたの重火器と、少女らの無数の屍

 ある種の娘たちは、なぜあのようにふるまうのか。現実的な困難や社会的不承認、あるいはより空想的な感覚に由来するスピリチュアルな痛みから己の身を守るため、いかなる現世的な武器も持たない無力な彼女らは、神秘と呼ぶにはあまりにも底の知れた安っぽいベールで己を包み込むしかなかったのだ。だから、そういった娘たちのことを、我々は少女と呼ぶ。

 少女らの実状は、いつもたやすく暴露される。彼女らがその短い半生をかけてようやく掴み取った唯一の武装は、ほんとうに力ある者の手によって、またたく間に引き剥がされる。彼女らの命がけの抵抗は、結局のところ泣き声や叫び声と変わらない。

 ひたすら奇矯な言動で現実に刃向かおうとした少女は、肉親の手によって息の根を止められた。ある少女の超俗的な振る舞いは、聞きかじりの知識で塗り固めた付け焼き刃の芝居に過ぎぬと暴かれた。少女らが最も愛した保護者たちは、彼女らの身体を使い捨ての盾として、銃雨の街を慎重に歩む。

 少女たちは、ひとり、ひとりと死んでいく。われわれの歩いてきた道は、少女らの無数の屍で溢れている。やがて、同胞たちはみな倒れ、ただ一人の少女だけが生き残る。最後の少女は表情もなく、同胞たちの亡骸を漁る。屍の指を一本一本引き剥がし、うち捨てられた神秘を担ぎあげる。たいていの場合、その神秘は重火器の形をしている。

 最後の少女は砲口を天に向け、弔砲のように轟音をかき鳴らす。華奢な身体は砲身を支えきれず、もてあそばれるように振り回される。大気を振るわす音圧のしびれ。しかし、これもしょせんは虚砲にすぎない。薄い戦幕を破ることすらかなわない、弱々しい楽器に過ぎない。敵の照準が合わさった時、彼らの放つ弾丸は彼女の額を正確に撃ち抜くだろう。

 戦場から少し離れたとこころで、私たちはときどき銃声を聞く。あっけない、一発で終わる銃声を聞く。その数瞬前に響いたやかましいがらくたの音は、私たちの心に残るだろうか?

「たのしい連邦のれきし 竹宮市宙港戒厳」バグとボムの話

某年7月31日
新ターミナルは鮮やかな夕空を背に巨大な松明と化している。艦長は激怒した。
かの暴虐の犯罪者共を艦首から吊るし首にせねばならぬ。イベント限定ストラップへの弔いに。

「たのしい連邦のれきし」のSTG新作買いましたよ。秋葉の某果物っぽい店で3500円でした。あと百代先生のブリザードノート2巻が890円。帰宅して早速竹宮(ryを起動したら見事にバグりました。また有料ベータ版か! 制作チーム仕事しろ!! 修復が面倒なので白歴史ノートの方々がバグにハマる前に注意喚起と、1面*1だけクリアしたメモ。

修復手順

  1. ゆらぎの神話 THE GAME」の体験版のZipを展開する
  2. bomb.srcをテキストエディタで開いて一行目を削除
  3. 「竹宮市宙港戒厳」のEffectフォルダに貼り付け。bomb11.srcを上書きする
  4. セーブデータ削除
  5. 起動。これでバグは出ない  というか道中ボムが無効になる (^q^)

母艦は全門使用禁止

「お世話になっております。サウスロップ・ローリング社*2カスタマーサポートです。ただいま全火砲オーバーホール中です」

というのは冗談で、艦砲火力支援を使用した際にグラフィック関連のバグが原因で落ちます。どうも艦砲の爆発エフェクト周り*3にバグがあるようです。何ですかその強制縛りプレイ…。

ちなみにボス・中ボス戦では例によって

  • 衝角戦用意」「艦長やめてください! 予算が! 予算が!」
  • 楽しい稟議タイム*4
  • 「ナノ中佐は試験兵装の使用可否判断が困難な状態になられました」
  • 自機緊急離脱→ボスへ衝角攻撃どーん・全門斉射どーん
  • 自機操作復帰

の流れで、ボム使用時のエフェクトが違うので落ちません。道中で死なないレベルに行くのもまだきついってのに、ボスにしかボム使えないとか新兵シューターには正直死ねます。現時点で既に最終面1個前まで行ったプレイ動画上げた人は人間じゃないと思う。

今回も対ボス戦時の火力支援に艦長とナノさんのボタン連打小芝居システムあるんですね。連邦宙軍において、稟議とは即ち一本背負いである。

「顔には傷を付けません。私は面食いです」

中佐を一本背負いした後、ドヤ顔しながら衝角攻撃してくれます。登場3作目にして艦長のパワハラが常態化してきましたね。裏でセクハラもしてそうです(百合的な意味で

今回はナノさんの反撃が出来るようになったみたいで、連打シーン入ってからキャンセルボタン*5連打すると、一本背負いを抜けだして逆襲のドロップキック→艦長がノックダウンされてる間にサウスロップ出向組+火器管制組の精密射撃モード*6に移行します。

ちなみに出向組と火器管制組メンバーキャラのランダムカットイン機能付き。名前も出ます。要らんがな。

もっとも今回の精密射撃って、火力は大体そのままで

  1. "!友軍火線警告!"表示
  2. ボスのダメージ箇所へ中太レーザー照射・納豆ミサイル4本

のタイミングがシビアになってるんですよね。基本的に回避を忘れるとシールド破断→全出力ダウンする威力なので割と洒落になりません。ボスに接近してたりすると相手がちょっと動いた時に衝突して撃墜、とかなります。

バンザーイ

んで、ボム全弾精密射撃モードで1ボス倒しました。参ったか艦長。

ボス自体は単に道中出現する雑魚のサイズが大きいバージョン*7、といった趣だったんですが、何やら撃破時に

ア、アルミセットばんざーい!

えっ …。

自爆だなんてお前は宇宙ショッカーか。いや、重要なのはそこではなくて。連邦史で唐突にゆらぎの神話ネタって事は今回の話ってキュラギ共和国興亡記のネタ入ってんですかね。逆クロスオーバー? キュラギ興亡記ネタのSFmodにとっととパッチ当ててストーリーモード進めるべきかも知れません。何かネタバレあっても嫌だし。

*1:「迎撃任務」→「けろヨンストラップ ころしてでもうばいとる」→「海上チキンレース

*2:前作あとがきより。艦の兵装の製造元

*3:1面は宇宙空間でないので爆発音もありますが、原因はグラフィックの方にある模様

*4:放置するかZキー連打→衝角攻撃 Xキー連打→後述の精密射撃

*5:Xキー

*6:つまり前作ではランダムだったのが自由に出せる

*7:深海魚風のデザインの敵とそれを操作している奴が乗っている高速艇

興亡記MOD 勢力メモ

ゆらぎにキュラギ興亡記ネタのSFmod入れたらバグで頓挫しました。うへぁ。

気力が無くなったので、回復する前にMOD攻略Wikiとマニュアルからメモだけ。

キュラギ共和国
主人公というか何と言うか。ノーラさんは出てこないのできれいな鈴国
曙光連盟
原作だと共感者の動物兵器に攻撃されまくりで毎日がB級映画。非人類相手の防衛戦得意。トンデモorレトロ風兵器がメイン。パスタ親爺のディフェンス力。
共感者/リアラ
蟻だか蜜蜂的な社会で外見は大体人間の宇宙人。地上ユニットの各種動物兵器最強伝説。通常拠点への攻撃力が化物。連盟の宿敵。
アルミセット教圏
偽アルセス率いる毒電波もとい宗教団体。焚書騎士団、パイロキネシス火炎放射器部隊。技術破壊だの基盤破壊だの逆焦土作戦。ゼネラインとは仲悪い
ゼネライングループ
ゼネライン社と愉快な関連企業・業務委託先たち。通信命の汎銀河企業。汎用部隊(直属子会社)と各種傭兵(委託先*1)でコストと能力が変化する。個人的には「ルビジウムET」がおすすめ*2
巡航者/クルーザー
主に大気圏外で生活する知的生命体。宇宙クジラとも生きる宇宙船とも*3。艦隊戦が生身だったり拠点の種類がほとんど軌道上だけだったり変則的。
デネブ型病原体群
ナノマシン製1/1サイズ完全再現な伝説上の怪物諸々*4。自立駆動機能もあるよ! 要らねぇ! 多くのユニットが大転向後の鈴国ユニットと似た「情報汚染」能力を持つ。有機ベースでも無機ベースでも情報関連だったら何でも感染する超エンガチョ。↑の巡航者は固有技術*5で対抗できる。ゼネラインだと相性悪いので出来れば戦いたくない相手らしい。

*1:全部社名がついている

*2:「Rubidium Entertainment Technica」。興行用アイドルAIによる文化支援部隊(?)とかある

*3:本体は人型だったりするが詳細は「たのしい連邦のれきし」参照

*4:ある意味ホラーファン垂涎か

*5:有機ベース情報免疫