頭と右手

河足八幡神社

祭神 誉田別命(応神天皇)、足仲彦命(仲哀天皇)、気長足姫命(神功皇后)、河足姫命 由緒 古くは河足姫命を主祭神に信仰を集めた。天皇行幸の際、土地の神である河足姫命の助力を得てこの地の御行を速やかに叶えたとされ、その働きを称えて創祀に至ったと…

寝つけない夜の散歩

真夜中にふと目が覚めて、そのまま寝つけなくて、私はのろのろと布団から這い出した。こんなときによくするように、黒ずくめの服に着替えて、夜の散歩に出かける。 辺りを見渡しながら歩いて、夜の深いところを探す。日によって違うから、見つけるのにけっこ…

頭と右手と考え事

「頭と右手か…」 ネットにある創作小説を読み終わり、僕は仰向けにベッドに転がる。時刻は早朝。外はまだまっくらで、カーテンの向こうには、未だ朝の気配はない。小説の内容を簡潔に述べると、なぜか頭と右手しか存在しない"わたし"が、彼女と一緒に時間を…

頭と右手に関する報告

書の解析の過程で、我々はそれら多くの記述において頻出する明らかに特異な要素を認めた。そこには頭と右手だけの娘がおり、頭と右手だけの人形がおり、頭と右手だけの死体があり、頭と右手だけの妖怪がおり、頭と右手だけの神がおり、また頭と右手だけのあ…

パーツ

胡坐をかいた膝の上に抱えられている。だいぶ涼しくなってきたのでくっついていても不快じゃない。 「髪伸びてきたね」 と、わたしを膝の上にのせている彼女が言った。彼女と同じ方向、テレビの方向に向いていたわたしを、くるりと回転させて軽く持ち上げて…